MIMURA ACCOUNTING NEWS Vol.88
消費税等の会計処理と未払消費税等や未収消費税等の計上時期

消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)の会計処理には、税抜方式と税込方式とがあり、任意でどちらかの方法を選択することができます。
但し、それぞれの方式により、納付すべき税額(未払消費税等)や還付を受ける税額(未収消費税等)の会計処理は以下の通り相違することがありますので注意が必要になります。
2.税抜方式を採用した場合
税抜方式を適用した場合は、課税売上に対する消費税等は仮受消費税等として計上され、課税仕入に対する消費税等は仮払消費税等として計上されます。
(1)原則課税の場合
決算時においてその課税期間全体に係る仮受消費税等の合計額から仮払消費税等の合計額を控除した金額が、貸借対照表上に納付すべき税額(未払消費税等)又は還付を受ける税額(未収消費税等)として計上されることになります。
(2)簡易課税制度を適用している場合
決算時においてその課税期間全体に係る仮受消費税等の合計額から仮払消費税等の合計額を差し引いた金額と簡易課税制度を適用した場合の納付すべき消費税等の額を比較して、簡易課税制度を適用した場合の納付すべき消費税等の額の方が少ない場合には、その差額を雑収入として益金の額に算入することになります。
逆に、簡易課税制度を適用した場合の納付すべき消費税等の額の方が多い場合には、その差額を雑損失として損金の額に算入することになります。
3.税込方式を採用した場合
税込方式を適用した場合は、課税売上に対する消費税等の額は売上高に含まれ、課税仕入に対する消費税等の額は仕入金額や経費などの額に含まれて計上されるため、消費税等について貸借対照表上に納付すべき税額(未払消費税等)又は還付を受ける税額(未収消費税等)として計上されることはありません。
(1)原則課税の場合
決算時においてその課税期間全体に係る納付すべき税額(未払消費税等)又は還付を受ける税額(未収消費税等)を別途計算して、納付すべき消費税等の額は租税公課として費用(損金)計上し、還付を受ける消費税等の額は雑収入として収益(益金)の額に計上することになります。
(2)簡易課税制度を適用している場合
原則課税の場合と同様に、決算時においてその課税期間全体に係る納付すべき税額(未払消費税等)又は還付を受ける税額(未収消費税等)を別途計算して、納付すべき消費税等の額は、租税公課として費用(損金)計上し、還付を受ける消費税等の額は、雑収入として収益(益金)の額に計上することになります。
(3)納付すべき消費税等の額及び還付を受ける消費税等の額の計上時期
原則課税及び簡易課税制度適用のいずれの場合にも、以下の取扱いになります。
①申告に係る税額については、その申告書が提出された日の属する年又は事業年度
②更正又は決定に係る税額については、その更正又は決定があった日の属する年又は事業年度
③上記①②に係らず、決算時(確定申告時)において、納付すべき消費税等の額を未払消費税等として計上するか、還付を受ける消費税等の額を未収消費税等として計上した場合に限り、その計上した事業年度の損金の額又は益金の額に算入されることになります。