MIMURA ACCOUNTING NEWS Vol.31
社外取締役の選任義務化

会社法上、従前から任意で社外取締役の選任ができますが、オリンパスや大王製紙などの不祥事が相次いだことから、取締役会の監督機能を充実化させ、第三者の観点から経営をチェックし経営の透明性を高めようとの狙いから、上場企業で資本金が5億円以上の「大会社」などに、1人以上の社外取締役を義務づける会社法改正の中間案を公表しましたが、経済界が強く反対したこともあり、法務省は、社外取締役の起用の義務づけを断念する方針を固めました。
定義
社外取締役とは、当該株式会社の取締役であって、現在及び過去において当該会社又はその子会社の業務執行取締役(注1)、執行役(注2)、支配人(注3)、使用人(従業員)になったことがない者をいう(会社法2条1項15号)。社外取締役には、責任限定契約を締結することができます(注4)。
社外取締役制度の採用は会社の任意ですが、社外から有能な人材を招聘することにより、会社の指揮命令系統から分離独立した視点から、取締役会の監督機能を充実化させ、より適正な会社運営を可能にすることができる制度と位置付けられています。
(注1)
業務執行取締役とは代表取締役及び取締役会で業務執行取締役に指名され、これを受諾した取締役をいう(会社法348条)。
(注2)
委員会設置会社(指名委員会、監査委員会及び報酬委員会を置く株式会社)の場合(会社法2条1項12号)。委員会設置会社では、執行役が取締役に代わり業務執行を行う(会社法415条、416条)。
(注3)
商人は、支配人を選任し、その営業所において、その営業を行わせることができ、支配人は、商人に代わってその営業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する(商法20条、21条)。
(注4)
善意でかつ重大な過失がないときは、定款で定めた額の範囲内であらかじめ株式会社が定めた額と最低責任限度額とのいずれか高い額を限度とする旨の契約を社外取締役等と締結することができる旨を定款で定めることができる(会社法427条)。